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「獣の戯れ」・三島由紀夫著(初版新潮社S32/後、新潮文庫) 「獣の戯れ」という通俗風タイトルから想像もできないほど難解な作品であった。伊豆西海岸を舞台に一組の夫婦と青年の三角関係の物語である。失語症の夫を婦人と青年が絞殺してしまう。ところが殺害の動機が曖昧でわからない。失語症は殺害の二年前、青年がスパナで乱打した後遺症である。けっして嫉妬をしない婦人、夫人になんとか嫉妬させるよう試みる夫。激情的な青年。いったい道で青年が拾ったスパナが、夫の頭を乱打するために存在しているという設定は必然なのか、偶然なのかはっきりしない。婦人と青年は夫の逢引きの現場のアパートを訪れる。四人の劇的な出会いの三十分が経過したころ、青年は上着のポケットに手を入れる。スパナがあった。それは流れるやうな一連の自然な振舞いで、感情もなければ目的も動機もなく、彼は自由に、何ものも遮るもののない堺を動いたのである。婦人への同情からか、青年の夫への嫉妬心からか、判然としない。スパナに触った途端、スパナに凶器としての生命が宿った。だから殴らざるを得なかったというような、感情以外の得たいの知れないものに突き動かされた凶行である。青年の夫人への想いも愛なのか同情なのか曖昧である。夫人の青年に対する想いもそうである。全編、このとおりで通常の三角関係のもつれからくる殺人の物語りとは趣を異にする。前回の「美徳のよりめき」ではSEX自体は結果であって、作者は重きをおいていないが、今回の「獣の戯れ」では殺人それ自体を描こうとしているのではない。殺人に至る動機を描こうとしているのである。そこまで、わかっても先に進まない。夫々の墓を三つ並べるなどという所業は通常の愛で説明できない。一つの愛が成立するためには激しい憎悪と嫉妬が触媒として必要であるような感覚。それでいて、三人の関係はドロドロしたものでなく乾いた井戸に水を求めるような、むなしい行為に努力を費やす関係である。結局、三人の愛はバラバラでありながら愛を渇望していることだけは同じで奇妙な共同生活をする。ところが夫人と青年は不具者となった夫を絞殺してしまう。夫人は無期懲役、青年は死刑。三人の微妙な関係の上に成り立つ愛。その一つがかけても成立しない。関係に終止符を打つためか、あるいは最悪の共同作業をすることによって永遠の愛にならしめるためか、あるいは両方の入り混じった感情かもしれない。いずれにしてもわからない。さらに、この作品を解りづらくしているのは、伊豆西海岸の見事な描写である。しばしば本筋をはなれてこちらの方に目がいってしまうのだ。また時系列的には現在から過去のエピソードととして三人をえがいていることである。結局、小説の序章で三人の運命は決定しているわけで全てが過去のことだから曖昧な部分があっても一向かまわないわけである。だが作者は最後の一行をきめてから最初の一行を書き出す計画家三島である。曖昧な作品を世に発表するはずもなく、論理的構成になっているとかんがえたほうがよい。それが見抜けないのは読者の責任であろう。三島文学の敷居の高さを見せられた思いである。 ならば文庫の解題くらい読めばよいのにと…。実は初版本が入手できたのでそちらで読んだ。暑い盛り、今年の夏は本当に暑い。アスファルトの歩道が焼肉の鉄板のように感じられる。神田の古書店街の午後は閑散としていた。所用があって出かけたのだけれども、S書店の前を通ると、自分においでおいでをしているような気配が。誘われるままにはいって物色すると、新刊書店から飛び込んできたような「獣の戯れ」があった。値段もこの時期の三島作品としては安い二千円だったので迷わず購入した。古本のあまりにもきれいなのは逆に気になるが…。まあそれはよしとして。初版には東山魁夷の暗い挿絵が各章に一葉、入っている。序章の三人の最後の写真の絵はこの作品の不気味さを象徴していると思った。この観念劇を読むには今年の夏は暑すぎた。 ※太字は「獣の戯れ」より |
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西伊豆
黄金崎にあったこれは小説の一部かな? 雲に覆われた南伊豆から走ってきて太陽が出たときは感動でした・・ 伊豆半島も、エリア的に東伊豆、南伊豆、西伊豆、それから中伊豆かな? それぞれのエリアにそれぞれの顔があるけど、西伊豆がいいかな・・・・ 東伊豆や中伊豆のように西伊豆は交通手段が悪い だから他のエリヤより素朴さがあるような感じがする それから、海がきれいだ! でも、これといった観光施設は少ない それから時間も掛かる それがいいのかもしれないかな? あ、そうそう、黄金崎にこんな碑... ...続きを見る |
気ままに自然と友達 2006/01/07 11:04 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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注文してあった新潮文庫『獣の戯れ』、先日ようやく到着しました。 |
至誠堂 2005/09/23 20:16 |
またまたコメント、ありがとうございます。至誠堂さんも読まれますか。私には |
マルジナリア 2005/09/29 21:30 |
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