川端康成著・「夕映え少女」

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「夕映え少女」、川端康成著(S52・コバルト文庫)
目次
 むすめごころ (昭和10)
 イタリアの歌 (昭和11)
 童謡 (昭和10)
 金塊 (昭和13)
 浅草の姉妹 (昭和7)
 夕映え少女 (昭和11)
 正月三ヶ日 (昭和15)   解説・巌谷 大四

七つの短編集。おさらに七つの色、形の違う砂糖菓子を載せたような感じです。けれど、みな甘いとはかぎりません。ちょっと、にがかったりします。そんな作品集です。
どれも境遇、まわりの環境で不幸にならざるをえない少女達。
(「正月三ヶ日」のみ、二組の会社員夫婦がともに正月旅行した時の話。)
それでも必死に生きようとする。
これらの小説の前にも、後にも物語があるような作風です。
児童文学(あるいは少年少女小説)は完全懲悪、立身出世、空想科学、純愛と作者の意図が透けて見えるので大人になってから読むとちょっとつまらない。
しかし、この作品集はさまざまな場面で揺れ動く少女達の心の機微を書いているので大人が読んでもおもしろいと思います。「伊豆の踊り子」、「雪国」、川端晩年の「古都」につながっていく作品群ともいえそうです。

「むすめごころ」
集中、もっとも少女小説らしい作品です。咲子という娘が親友の静子に時田という青年をゆずり、結婚させます。咲子は自分より静子のほうが時田にふさわしいと思い、また二人が幸せになれるだろと青年をあきらめます。咲子が静子に送る手紙形式の作品です。

「浅草の姉妹」
働くために東京にでてきた三姉妹が協力しあって、生きるさまを書いています。哀しさを紛らわすために、むりにはしゃいだような文章がより哀しさを感じさせています。

「夕映え少女」
ある海岸の保養地における画家夫婦とそれにからむ少年と少女の恋愛をこの保養地にやってきた作家の目をとおして書いています。少年と少女は悲しい運命に導かれます。

コバルトのなかでは異色の一冊です。現在は絶版になっています。おそらく昭和52年当時でもあまり売れなかったと思いますが。




 

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この記事へのコメント

(^-^)
2006年07月02日 21:35
中村真一郎も三島由紀夫も川端は少女小説が良いと言っています
三島全集29巻 「永遠の旅人ー川端康成の人と作品」
マルジナリア
2006年07月03日 00:19
(^-^)(にこにこさん?)「永遠の旅人ー川端康成の人と作品」は単行本「亀は兎に追いつくか」に収録されてますね。早速、みました。本当に中村真一郎が言っているように子供むけの安全な少女小説じゃありませんでした。川端の視線を感じてしまう作品群でした。でも面白い。


はる
2006年12月05日 23:56
こんにちは。はじめまして。
うわぁ~、懐かしい!これ持ってます!まだ実家にあるかな… 私は「イタリアの歌」が、なぜだかとても好きです。
2006年12月07日 23:24
はるさん、コメントありがとうございます。
この文庫、お持ちなのですね。コバルトの作家群では川端は異色です。それと川端の少女小説のまとまったものは、少ないです。古書店でも見かけません。改めて捜すとなると苦労します。古書価をいうのはあれだけれど、高額になっていると思いますので大切にされてください。「イタリアの歌」は、火達磨の男がいきなり出てくる、ちょっと怖いお話でした。川端が普段は見せない、もう一人の川端の顔ではないでしょうか。
はる
2006年12月08日 08:21
 マルジナリアさん、ご丁寧なお返事ありがとうございます。
 私が初めて川端の名前を知ったのは、少女フレンドに掲載された、大和和紀作画による漫画「古都」でした。それで原作を読み、その後「小説ジュニア」を経て「コバルト文庫」へと進んだので、マルジナリアさんのように系統だてた評論はできないのですが、その静謐さ・描かれる女性のしなやかな強さに惹かれました。
 「イタリアの歌」も、ちょっとうろ覚えなのですが、自滅する男の弱さ、その弱さゆえに失われてしまった愛、それでも生きてゆく主人公の悲しみを湛えた強さに引きつけられたような記憶があります。ベッドに横たわり歌を口ずさむ主人公の図が、映画のようにパッと眼に浮かんだ覚えがあります。また読んでみたくなりました。今度実家で探してみようと思います。
 つたない感想を読んでいただきありがとうございました。場違いでしたらすみません。
2006年12月08日 23:08
いやいや、記憶を辿ってこれだけの感想を感想を書けるのは頭が下がります。
「古都」の件は初めて知りました。なにかの参考にしたいと思います。「古都」も少女小説の延長にある作品でありますね。川端の作品に登場する女性は運命の細い、それでいながら気丈なところをもっている感じがします。谷崎の肉感的な女性と好対照だと思うのですが。文豪と云われる作家の多くは子供向けのものを書いているのですが、川端はこういうものにも真剣に取り組んだ点は再評価されてもよいと思うのです。再度のコメント、ありがとうございます。
淡紫
2008年06月17日 23:06
マルジナリアさん、こんばんは。
以前お世話になりました「はる」です。お久しぶりです。現在「淡紫(うすむらさき)」と名乗って細々と「蒼い森の備忘録」というブログを書いております。

「夕映え少女」、映画化されましたね。マルジナリアさんとお話させていただいてから、ずっとこの本が気になっていたのですが、映画化を機にやっと改めて読んでみました。
それで駄文ながら記事も書いたのですが、こちらのコメント欄で書かせていただいたことや、マルジナリアさんとの対話で改めて知ったこと、思ったことなども含まれておりますのでトラックバックさせていただきました。
この作品との「再会」はマルジナリアさんのおかげでもありますので、ご報告とともに御礼申し上げたくコメントさせていただきました。どうもありがとうございました。
2008年06月18日 02:34
これはどうも、お久しぶりです。お元気でいらしゃるようですね。わたしの方は相変わらずダラダラ~と細々やっています。「夕映え少女」ありましたようですね。よかったです。わたし、↑で鑑定団みたいなこと言ってますね。アハハハ…
でも、これ本当にないんですよ。わたしは、たまたま場末の古本屋で見つけました。新風舎からも出ましたがコバルトの表紙のほうがロマンチックで良いように思います。妹分の「万葉姉妹」も有ったら揃えたいと思っていますが、これがまた有りません。川端は少女小説がうまいですね。子供向けというより大人向けの少女小説という感じもしますが。「古都」などは少女小説の伝統を受け継いでいるように思えます。どうぞ、これを機会にお越しください。^^
淡紫
2008年06月20日 01:18
マルジナリアさん、こんばんは。
当方にもコメントいただきありがとうございました。

なかなか実家に寄る機会がなく、こんなに時間がかかってしまいました^^;
「夕映え少女」の初版は¥8000(!)で出てるようですよ。わたしのは2版ですが、大事に持っておこうと思っています。
この本を買ったのはタイトルの響きと表紙のロマンティックさに惹かれてでしたので、わたしもコバルト版の方が好きです。
「万葉姉妹」もアマゾンで¥900から出品されていました。ご参考までに…。(これもかわいらしい表紙ですね。)

それでは、お言葉に甘えてまた寄らせていただきますね^^
わたしのは駄ブログでお恥ずかしい限りなんですが、お気が向かれましたらお立ち寄りいただけると嬉しいです。
今回はどうもありがとうございました。
2008年06月20日 20:15
8000円で出品されていますか。驚きです!ハイティーン向け文庫は古本屋が引き取らなかったせいでしょうね。読み捨てになったと思います。だから残っている本も少ないんでしょうね。最近はマニアの人もいるからでしょう。コバルトは当初は伊藤左千夫なども入っていて、文芸路線も視野に入れていたようです。
それでは、わたしもお伺いいたしましょう。
reparorse
2014年01月18日 06:21
公務員の中でもえているのだろう官僚が自身の給与をブの筆者は、 http://www.flvasc.com/ を上梓したばかりブログを読んだと声を掛けていただリアを終えるのと思って引き受 http://www.hyaanh.com/ の反応が変わった http://www.akwatu.net/ ない範囲でらは一言ませんでした。と圧力をくさんいまし http://www.renewingfaces.com/ どういったものであとの割はネガティブな意見官僚の働き方をしていると、そうした激務に耐え文字にしてしまうと http://www.coffeewithus.com/ うやってモ仕事の魅力が大き官僚という仕事単位の研究開規模のお金をで http://www.caellis.com/ かなかないでしょう経営者など多くそうした知見をありましたが大変勉古いようですが日のいうことは、たいな若造るのでしょうか http://www.angelnadezhdi.com/ んな損な役回りそのときは、み作りを担当しいので様々また外国企 http://www.adtrx-24.org/ けるかといっ承認されるまではとであっても、

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